
学校の歯科検診で「歯並び注意」をもらったら、まず知っておきたいこと
お子さんが学校から持ち帰った「歯並び・かみ合わせに注意」の用紙を見て、「今すぐ矯正を始めるべき? 永久歯が揃うまで待っていい?」と迷っているご家庭は少なくありません。ご夫婦で意見が分かれることもあるでしょう。この記事では、1期治療と2期治療の目的の違いやトータル費用の比較、そして「7歳の今」動くべきかどうかの判断基準を歯科医学的な根拠をもとに整理しました。読み終える頃には、ご家族で相談に踏み出すための材料がそろっているはずです。
この記事の要点まとめ
- 1期治療(6〜12歳)は顎の成長を利用した土台づくり、2期治療(12歳以降)は永久歯の仕上げで、すべての子供が両方必要とは限りません
- 1期治療20〜50万円・2期治療30〜100万円が相場で、継続時の差額精算制度や医療費控除により実質負担を軽減できます
- 受け口・交叉咬合などは早期介入が推奨される一方、軽度の歯並びは待つ選択肢もあるため検査での見極めが重要です
- 1期治療と2期治療の違い|対象年齢・目的・使う装置を整理
- 子供の歯列矯正の費用相場|1期から始めた場合と2期のみの場合をトータルで比較
- 「7歳で始める」vs「中学まで待つ」|費用だけでは見えない治療効果の差
- 子供が嫌がらない矯正検査とは|iTeroを使った負担の少ない診断の流れ
1期治療と2期治療の違い|対象年齢・目的・使う装置を整理

子供の矯正について調べると、必ず目にするのが「1期治療」「2期治療」という言葉です。それぞれが何を目指しているのか、基本的な違いを押さえておきましょう。
1期治療(6〜12歳)は顎の成長を利用して土台を整える治療
1期治療は、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に行います。この時期の大きなポイントは、顎の骨がまだ成長途中にあること。成長の力を活かして顎の幅を広げたり、上下のバランスを調整したりすることで、永久歯が収まるスペースを確保するのが主な目的です。
代表的な装置は、顎を横方向に広げる拡大装置や、取り外しできるマウスピース型装置など。受け口(反対咬合)のように上下の顎の位置関係そのものに課題がある場合は、この時期に対応することで効果が期待しやすい装置を使うケースもあります。つまり1期治療は「歯を並べる」のではなく、「歯が正しく並ぶための土台をつくる」治療と捉えるとわかりやすいでしょう。
口呼吸や舌の癖が歯並びに影響しているお子さんには、MFT(口腔筋機能療法)という筋肉トレーニングを併用する場合もあります。装置だけに頼らず、お口周りの筋肉の使い方を見直すことで、治療後の安定を高める狙いがあります。
2期治療(12歳以降)は永久歯の歯並びを仕上げる治療
2期治療は、永久歯がほぼ揃った永久歯列期に行う矯正です。ワイヤー矯正やマウスピース矯正(インビザラインなど)を使い、一本一本の歯を精密に動かして最終的なかみ合わせを仕上げます。
ここで押さえておきたいのは、すべてのお子さんが「1期+2期」の両方を必要とするわけではない点。1期治療で十分な土台ができれば、2期が不要になったり、ごく軽度の調整だけで済んだりすることもあります。反対に、骨格的な課題が少なく歯の凸凹だけが気になる場合は、永久歯が揃ってから2期治療のみで対応できるケースも珍しくありません。
「うちの子はどちらに当てはまるのか」は、実際にお口の中を診なければ判断が難しい部分です。まずは精密な検査を受けることが、すべての出発点になります。
子供の歯列矯正の費用相場|1期から始めた場合と2期のみの場合をトータルで比較

「今始めたら結局いくらかかるの?」——費用の全体像が見えないと、なかなか一歩を踏み出しにくいもの。検査料から保定装置代まで含めたトータルコストを整理します。
1期治療の費用相場と主な内訳(検査料・装置代・調整料)
1期治療の費用は、一般的に20万〜50万円程度が相場です。内訳をざっくり分けると、次のようになります。
- 検査・診断料:3万〜5万円前後
- 装置代:15万〜40万円前後
- 毎月の調整料:3,000〜5,000円 × 通院回数
- 保定観察料:数千円〜1万円程度/回
費用の提示方法には「トータルフィー制(総額提示)」と「処置別支払い制」の2種類があります。トータルフィー制は調整料が総額に含まれるため追加費用が生じにくく、処置別支払い制は初期費用を抑えやすい一方、治療が長引くと総額が増える可能性も。見積もりを比べる際は、どちらの方式かを必ず確認してください。
2期治療の費用相場と1期を経た場合の割引制度
2期治療の費用相場は30万〜100万円程度。マウスピース矯正かワイヤー矯正か、歯並びの複雑さによって金額に幅が出ます。
注目したいのは、同じ歯科医院で1期から継続して2期に移行する場合、差額精算や割引制度を設けている医院が多い点です。たとえば1期に35万円かかった場合、2期の費用から一定額を差し引き、1期+2期トータルで60万〜90万円程度に収まるケースも少なくありません。2期のみで始めた場合と比べ、トータルが大幅に膨らむとは限らないわけです。
ただし転院すると差額精算が適用されなくなるのが一般的です。転勤や引っ越しの可能性がある方は、返金規定や転院時の引き継ぎ費用について事前に確認しておくと安心でしょう。
医療費控除とデンタルローンで実質負担を抑える方法
子供の歯列矯正は、発育段階にあるお子さんの正常な成長を阻害しないための治療として医療費控除の対象になります。たとえば矯正費用85万円・所得税率20%の世帯なら、概算で約15万円前後の還付が見込める計算です(他の医療費や所得控除の状況で変動します)。ふるさと納税との併用は控除額に影響が出る場合があるため、確定申告時にご注意ください。
デンタルローンや院内分割払いを活用すれば、月々1万〜2万円程度の支払いに分散できる医院も多くあります。住宅ローンを抱えるご家庭でも無理なく計画を立てやすい仕組みです。
「7歳で始める」vs「中学まで待つ」|費用だけでは見えない治療効果の差
費用の見通しがついたところで、次に気になるのは「そもそも今始める必要があるのか」というテーマ。金額だけでなく、治療効果の面から比較してみましょう。
早期に1期治療を始めることで期待できる3つのメリット
1つ目は、顎の成長を味方にできること。成長期の骨は柔軟性があり、拡大装置などを使えば比較的小さな力で顎幅を広げやすい時期です。成長が止まった後に同様のアプローチを取るには外科的な処置が必要になる場合もあるため、この時期ならではの利点といえます。
2つ目は、将来的に抜歯を避けられる可能性が高まる点。1期治療でスペースを確保しておくことで、2期治療で健康な永久歯を抜かずに並べられる確率が上がると考えられています。
3つ目は、2期治療が不要になったり、軽度の調整だけで済む場合がある点。1期治療だけで十分な状態に至れば、そこで終了でき、トータルの負担軽減につながることも期待できます。
「乳歯があるうちは矯正しなくていい」は本当か?よくある3つの誤解
誤解①「乳歯が全部抜けてからで十分」
受け口や交叉咬合など、上下の顎のバランスに課題があるケースでは、乳歯が残っている混合歯列期にこそ介入が推奨されます。永久歯列が完成してからでは骨格の調整が難しくなることがあるためです。
誤解②「子供の矯正は意味がない」
「どうせ2期治療も必要になるなら無駄では」と感じる方もいますが、1期で土台を整えておくことで2期治療の難易度が下がり、期間や費用が抑えられるケースは珍しくありません。
誤解③「早く始めると治療期間が倍になる」
1期治療の期間は通常1〜2年程度で、その後は経過観察に移行します。常に装置をつけ続けるわけではないので、「治療期間が倍」というイメージは実態と異なります。
症状別に見る「今始めるべきケース」と「待っても問題ないケース」
早期介入が推奨される症状としては、受け口(反対咬合)、交叉咬合、指しゃぶりや口呼吸による開咬、著しいスペース不足で永久歯がうまく生えてこない場合などが挙げられます。6歳の段階でも受け口への対応は開始できるため、気になったら早めに相談しておくのがおすすめです。
一方、軽度の叢生(歯の凸凹)で顎の成長バランスに課題がないケースでは、永久歯の生え替わりを待ってから2期治療で対応しても間に合う場合があります。ただし「待って大丈夫」かどうかの見極めは保護者の目だけでは難しいもの。歯科医院で検査を受けたうえで「待つ」という選択をするのが、もっとも確実な方法です。
子供が嫌がらない矯正検査とは|iTeroを使った負担の少ない診断の流れ
「矯正の相談に行きたいけど、子供が怖がらないかな」——そう心配される保護者の方は多いです。特にご自身がワイヤー矯正でつらい思いをされた経験があると、お子さんに同じ負担をかけたくないと感じるのは自然なこと。ただ、今の矯正検査はかなり進化しています。
iTero口腔内スキャナーなら型取りの不快感が少ない
従来の矯正検査では、粘土のような印象材を口の中に入れて型取りをしていました。大人でも苦手な方が多く、嘔吐反射が出てしまうお子さんも少なくありません。
当院では口腔内スキャナー(iTero)を導入しています。ペン型のカメラでお口の中をなぞるだけで、歯並びの3Dデータをわずか数分で取得できる仕組みです。印象材を使わないので不快感がほとんどなく、お子さんへの負担がぐっと軽くなります。スキャン中にモニターで自分の歯並びがリアルタイムに映し出されるため、お子さん自身が興味を持って参加してくれることも珍しくありません。
さらに当院では歯科用CTも活用し、顎の骨の状態や永久歯の位置関係を立体的に確認します。画像やアニメーションを使いながら治療の内容・期間・費用をわかりやすくご説明し、ご納得いただいてから治療を進める方針を徹底しています。
スター歯科の初回矯正相談で確認できること・持ち物・所要時間
初回の矯正相談では、主に以下の内容をお伝えできます。
- 現在の歯並び・かみ合わせの状態評価
- 1期治療が必要かどうかの方向性
- 治療を始める場合の概算費用と期間の目安
- 治療開始の推奨時期(「今」なのか「もう少し待つ」のか)
所要時間は30分〜1時間程度。保険証とお子さんの歯に関する記録(学校の検診結果など)をお持ちいただくとスムーズです。
当院はインビザライン認定プラチナプロバイダーとして年間600症例以上の矯正治療実績があり、お子さんのマウスピース矯正にも対応しています。キッズスペースにはチームラボによる体験型タッチディスプレイも設置しており、お子さんが楽しみながら待てる環境を整えました。
ご夫婦で一緒にお越しいただければ、その場で疑問を共有し、同じ説明を聞いたうえで判断できます。「夫にも直接話を聞いてほしい」という方にとって、初回相談はご家族の合意形成にも役立つ場になるはずです。
よくある質問
Q. 小児矯正は何歳がベストですか?
A. 一般的には6〜7歳頃、前歯の永久歯が生え始める時期が1期治療の開始目安です。ただし受け口などの症状がある場合は、もう少し早い段階でご相談いただくのがおすすめです。成長には個人差があるため、歯科医院で検査を受けたうえで判断するのが確実といえます。
Q. 矯正費用85万円で医療費控除はいくら戻りますか?
A. 所得税率20%の方なら、概算で約15万円前後の還付が見込めます。ただし他の医療費や所得控除の状況によって金額は変わります。デンタルローンで支払った場合でも、信販会社の領収書があれば医療費控除の申請は可能です。
Q. 歯列矯正は月にどのくらいの費用がかかりますか?
A. デンタルローンや院内分割を利用した場合、月々1万〜2万円程度に設定している歯科医院が多いです。毎月の調整料は3,000〜5,000円程度が相場ですが、トータルフィー制の医院では調整料が総額に含まれているため、追加の負担はありません。
Q. 6歳でも受け口の矯正はできますか?
A. はい、6歳からでも受け口(反対咬合)への対応は可能です。むしろ顎の成長期を活かせるこの時期に介入することで、将来的な外科処置を回避できる可能性があります。まずは現状を正確に把握するために、検査を受けることが第一歩です。
Q. 子供が装置を嫌がった場合、追加費用はかかりますか?
A. 取り外し式の装置を紛失・破損した場合は、再製作の費用が発生することがあります。金額は装置の種類によって異なるため、事前に紛失時の対応と費用を確認しておくと安心です。装置に慣れるまでの期間は個人差がありますので、歯科医師やスタッフと相談しながら段階的に進めていくことが大切です。

歯科医師
医療法人社団星晄会 スター歯科
院長
山田 浩平
東京都中央区の歯科に常勤 勤務
神奈川県横浜市の歯科に常勤 勤務
東京都中野区の歯科に常勤 勤務
埼玉県さいたま市の歯科に非常勤 勤務
東京都足立区の歯科に非常勤 勤務
2015年9月 スター歯科院長
日本歯科先端技術研究所
日本歯科放射線学会
ドライマウス研究会
日本歯科放射線学会 エックス線優良医
ドライマウス認定医
日本口腔インプラント学会認証医

