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糖尿病で歯周病が心配な方へ!関係性と5つのセルフケア

糖尿病で歯周病が心配な方へ!関係性と5つのセルフケア

血糖値の指摘とともに「歯ぐき」も気になり始めた方へ


健康診断でHbA1cの上昇を指摘され、内科の先生から「歯周病が血糖コントロールに関わることがある」と言われて戸惑う——そんな方は少なくありません。仕事が忙しく通院時間を作りにくい、歯科への苦手意識が残っている。そうした揺れる気持ちも自然なものです。この記事では、糖尿病と歯周病が互いに影響し合う仕組みを整理したうえで、ご自宅で無理なく続けやすい5つのセルフケアをご紹介します。大切なのは、毎日のケアと専門的なケアを組み合わせ、口腔内の炎症を抑えていく視点です。


この記事の要点まとめ


  • 糖尿病と歯周病は互いに影響し合う関係にあると考えられている
  • ブラッシングやフロスなど5つの習慣が日々のセルフケアの手がかりになる
  • 歯科医院での定期的な確認と内科との情報共有が口腔と全身の健康管理につながる


糖尿病と歯周病が及ぼし合う相互関係のメカニズム


糖尿病と歯周病は、長らく別々の診療領域で扱われてきました。ところが近年は、この二つが一方通行ではなく双方向に影響し合う関係にあると考えられています1。歯周病が糖尿病の合併症のひとつに数えられることもあり、内科と歯科が連携する場面も増えてきました。


高血糖状態が歯周組織の抵抗力を低下させる理由


血糖値の高い状態が続くと、細菌と戦う白血球(好中球)の働きが鈍りやすくなるといわれます。歯周ポケットの中で歯垢(プラーク)が増えても、本来なら抑え込めるはずの細菌に対処しきれない。その結果、炎症が長引きやすい環境が生まれやすくなると考えられています。


さらに高血糖は、細い血管の血流や組織の修復力にも関わってきます。歯ぐきは毛細血管が豊富な組織ですから、酸素や栄養が届きにくくなれば、腫れや出血もなかなか落ち着きません。加えて糖尿病では唾液が減り、口腔内が乾きやすくなる傾向も指摘されています。唾液による自浄作用が働きにくい状態は、細菌にとって過ごしやすい環境といえるでしょう。


つまり、高血糖は歯周組織の「守る力」と「治す力」の両方に影響しうる。ここが出発点になります。


歯周病による炎症性物質とインスリン抵抗性の上昇


逆方向の影響も見過ごせません。歯周ポケットで炎症が続くと、TNF-αをはじめとする炎症性サイトカインという物質が産生されます。歯ぐきは血管が密に走る組織のため、これらの物質は局所にとどまらず、血流に乗って全身へ広がっていくと考えられています3


炎症性サイトカインは、インスリンが細胞に糖を取り込ませる働きを妨げる方向に作用するとされます。これがインスリン抵抗性と呼ばれる状態です。膵臓からインスリンが分泌されていても効きにくくなるため、血糖コントロールが難しくなりやすいという流れですね。


重度の歯周炎で炎症を起こしている歯ぐきの表面積は、手のひらほどの広さに相当するとたとえられることがあります。目に見えない小さな炎症でも、全身から見渡せば決して小さくない負荷になりうるわけです。


歯周病のケアや治療が血糖コントロールに寄与する医学的背景


悪循環という言葉には不安を感じるかもしれません。ただ裏を返せば、「どちらか一方を整えれば、もう一方にも良い流れが生まれる可能性がある」という意味でもあります。


実際、歯周基本治療によって口腔内の炎症を抑えると、HbA1cの数値に変化がみられたとする報告が国内外で蓄積されてきました3。炎症性物質の血中への流入が減ることで、インスリンの効きにくさが和らぐ方向に働くと考えられているためです。とはいえ変化の程度には個人差があり、歯科治療だけで血糖コントロールが完結するものではありません。食事・運動・内科での薬物療法と並行して取り組む「もうひとつの選択肢」として位置づけるのが現実的でしょう1


当院の院長も、内科で血糖値を指摘された患者さまには、まずお口の状態を一緒に確認するところから始めています。数値だけでは実感が湧きにくいものですが、ご自身の歯ぐきの様子を知ることが、日々のケアを続ける手がかりになると考えているからです。


持病の重症化を防ぐための5つの自宅セルフケア習慣

持病の重症化を防ぐための5つの自宅セルフケア習慣

ここからは、忙しい毎日でも取り入れやすいセルフケアを5つに絞ってご紹介します。すべてを完璧にこなす必要はありません。続けられる形に落とし込むこと。それが結果的に、口腔内の炎症を抑えるうえでの近道になります。


1. 歯ぐきに負担をかけない丁寧なブラッシングと歯垢除去


歯周病ケアの土台は、やはり毎日のブラッシングです2。狙いたいのは歯の表面だけでなく、歯と歯ぐきの境目にある溝。歯ブラシの毛先を45度ほどの角度で当て、1〜2本ずつ小刻みに動かすイメージで進めてみてください。


力を込めてゴシゴシ磨くと、歯ぐきが下がったり、歯の根元がすり減ったりすることがあります。目安は毛先が広がらない程度、150〜200g程度の軽い圧です。歯ブラシは毛先が細めのやわらかめ〜ふつうを選び、毛が開いてきたら交換のサインと考えましょう。


2. デンタルフロス・歯間ブラシを用いた隙間清掃の定着


歯ブラシだけで落とせる歯垢は、全体の6割程度ともいわれます。残る歯と歯の間には、フロスや歯間ブラシが欠かせません。


歯間の狭い部分にはデンタルフロス、歯ぐきが下がって隙間の広がった部分には歯間ブラシ。この使い分けが基本になります。歯間ブラシはサイズが合わないと歯ぐきを傷つけることがあるため、初めての方は歯科衛生士に太さを見てもらうと選びやすいはずです。まずは就寝前の1回だけでも構いません。習慣化を優先しましょう。


3. お口の雑菌増殖を抑える洗口液(マウスウォッシュ)の活用


洗口液は、ブラッシングやフロスの代わりにはなりません。機械的に歯垢を落とした後の「仕上げ」として使うもの、と考えてください。


歯周病対策を意識するなら、殺菌成分(CPC、IPMPなど)や抗炎症成分が配合されたタイプが選択肢になります。お口の乾燥が気になる方には、アルコール非配合の低刺激タイプのほうが続けやすいでしょう。使うタイミングは、夜のケアの最後や、外出先で歯磨きが難しいときの補助が現実的です。


4. 就寝前ケアの徹底と唾液分泌を促す生活習慣の見直し


睡眠中は唾液の分泌量が大きく減り、細菌が増えやすい時間帯になります。1日のうちで最も時間をかけたいのが、就寝前のケア。フロスまで含めて5〜10分を確保できると望ましいところです。


日中は、こまめな水分補給も乾燥対策になります。糖分を含む飲み物ではなく水やお茶を選べば、血糖の面からも無理がありません。よく噛んで食べる、頬や舌を動かす——そんな何気ない習慣も唾液の分泌を助けてくれます。喫煙習慣のある方は、歯ぐきの血流への影響が知られていますから、この機会に本数を見直してみるのもひとつです1


5. 自宅でできる歯ぐきの出血や腫れの定期確認チェック


歯周病は自覚症状が乏しいまま進むことがあります。だからこそ、意識的に観察する習慣が役立ちます。週に一度、明るい場所で鏡を見ながら次の点を確かめてみてください。


  • 歯ぐきの色が赤みを帯びていないか(健康な歯ぐきは淡いピンク色)
  • 歯ブラシやフロスの使用時に血がにじまないか
  • 歯ぐきが腫れぼったく、ぶよぶよしていないか
  • 以前より歯が長く見えるようになっていないか
  • 口臭やお口のネバつきが気になる日が増えていないか

当てはまる項目があれば、セルフケアだけで抱え込まず、歯科医院での確認をおすすめします。


【意外と知られていない】自己流ケアの限界と歯科医院でのプロフェッショナルケア


どれだけ丁寧に磨いても、歯垢が固まって歯石になれば歯ブラシでは除去できません。しかも歯周ポケットの奥に形成されるバイオフィルムという細菌の膜は、洗口液の成分がしみ込みにくい性質を持つとされています。ここからは、ご自宅のケアと専門的ケアを組み合わせる意味を整理していきます3


歯周ポケット深部の汚れを除去するクリーニング(エアフロー等の活用)


歯科医院では、スケーラーという器具を用いて歯石やバイオフィルムを取り除きます。歯周ポケットが深い部位では、歯ぐきの内側に隠れた歯石まで対象になります。


当院では、微細なパウダーをジェット水流で吹き付けるエアフローを導入し、着色やバイオフィルムを落とす際の負担軽減に配慮しています。さらに歯周病治療の選択肢としてブルーラジカルも導入しました。歯科用CTやレントゲンによる検査と組み合わせながら、お口の状態に応じた方法をご提案しています。「歯科は痛いもの」という印象で足が遠のいていた方こそ、まずは処置内容の説明からご相談いただければと思います。


設備(歯科用CT・口腔内スキャナー)を用いた状態確認と定期検診の頻度


歯周病の進行度は、歯周ポケットの深さの測定、出血の有無、レントゲンでの骨の状態確認などを組み合わせて評価していきます。当院では歯科用CTや口腔内スキャナー(iTero)、口腔内カメラを活用し、画像を見ていただきながら現状をご説明しています。


検診の間隔は状態によって変わりますが、糖尿病をお持ちの方や歯周病の進行がみられる方には、3〜4ヶ月ごとを目安にご案内することが多くなります。状態が落ち着いていれば間隔を延ばす判断もありますので、担当者と相談しながら決めていくのが現実的でしょう2


内科での血糖値管理データと連動させた診療の重要性


持病をお持ちの方の歯科治療では、全身状態の把握が欠かせません。HbA1cの値や服薬内容によっては、外科的な処置のタイミングや当日の体調管理に配慮が必要になる場合もあります。


内科の主治医と情報を共有しながら進めれば、体調に応じた無理のない計画を立てやすくなります。逆に、歯周病の状態を内科側にお伝えすることが、血糖コントロールを考えるうえでの材料になることもあるのです13お口の健康管理を、全身の健康管理の一部として捉える視点。これがこれからますます大切になっていきます。


持病をお持ちの患者さまに配慮したスター歯科の診療体制


患者さま一人ひとりの体調に寄り添うカウンセリング


佐倉市染井野の当院では、「マイナス」を「プラス」に変える歯科診療をめざし、痛みや不安といったマイナスイメージを和らげる環境づくりに取り組んできました。表面麻酔や電動麻酔を用いた痛みへの配慮、落ち着いて過ごせる個室診療室、バリアフリー設計。通いやすさを意識した工夫を、ひとつずつ重ねています。


カウンセリングでは、過去の歯科治療で感じたことや、お仕事の都合で通院できる曜日・時間帯まで伺ったうえで計画を立てます。当院では治療内容・期間・費用を画像やアニメーションでご説明し、ご納得いただいてから進めることを基本としています。歯科衛生士担当制も導入しており、ご希望の方には毎回同じ担当が継続してケアにあたります。


初診時に持参したい「お薬手帳」と「検査結果」のポイント


糖尿病をはじめとする持病をお持ちの方は、初診の際に次のものをお持ちいただくと、体調に配慮した対応につながりやすくなります。


  • お薬手帳(血糖降下薬、血液をサラサラにする薬などの確認のため)
  • 健康診断や内科での血液検査結果(HbA1c、血糖値の記録)
  • 内科の主治医名・受診間隔がわかるもの

当院では検査結果や治療内容をまとめた「お口の説明書」をお渡ししています。内科受診の際にご活用いただければ、医科と歯科の間で状況を共有する手がかりにもなるはずです。まずは現状を知るところから、一緒に始めてみませんか。


よくある質問


Q1. 歯周病のケアに役立つセルフケアには何がありますか?


A. 基本は、歯と歯ぐきの境目を意識したブラッシングと、デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間清掃の組み合わせです。仕上げに殺菌成分を含む洗口液を取り入れる方法もあります。ただし歯石やバイオフィルムはセルフケアだけでは取りきれないため、歯科医院での確認と併用することが望まれます。


Q2. 糖尿病と歯周病はどのように関わっているのですか?


A. 高血糖の状態は歯ぐきの抵抗力や修復力に影響しやすく、歯周病が進みやすい環境になると考えられています。一方で、歯周病の炎症で生じる物質が血流に入り、インスリンの働きを妨げる方向に作用するとも指摘されています。双方向に影響し合う関係、と理解されています。


Q3. 糖尿病のセルフケアとは具体的に何を指しますか?


A. 食事内容の見直し、適度な運動、体重や血糖の記録、処方された薬の継続などが中心になります。これらに加えて、お口の中の炎症を抑える口腔ケアも、全身の健康管理の一環として位置づけられるようになってきました。


Q4. 歯周病治療を受けると血糖値に変化はありますか?


A. 歯周治療の後にHbA1cの変化がみられたとする報告はありますが、程度には個人差があり、結果をお約束できるものではありません。内科での治療や生活習慣の見直しと並行して取り組む、補助的な選択肢としてお考えください。


Q5. 血糖値が高めでも歯科治療は受けられますか?


A. 多くの場合、体調や数値を確認しながら計画を立てて進めます。処置の内容やタイミングに配慮が必要になることもありますので、お薬手帳や血液検査の結果をご持参のうえ、初診時にお申し出ください。必要に応じて内科の主治医と連携を図ります。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth

3. 日本臨床歯周病学会 公式サイト https://www.perio.jp/


山田 浩平

歯科医師


医療法人社団星晄会 スター歯科

院長

山田 浩平

経歴
2008年3月 日本歯科大学 卒業
東京都中央区の歯科に常勤 勤務
神奈川県横浜市の歯科に常勤 勤務
東京都中野区の歯科に常勤 勤務
埼玉県さいたま市の歯科に非常勤 勤務
東京都足立区の歯科に非常勤 勤務
2015年9月 スター歯科院長
資格・所属学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科先端技術研究所
日本歯科放射線学会
ドライマウス研究会
日本歯科放射線学会 エックス線優良医
ドライマウス認定医
日本口腔インプラント学会認証医